本日は店舗の突き合わせ大判ガラス(横幅1200mm×高さ2400mm)のガラスを割れ替え修理してきました!突き合わせというのは、2枚のガラスが直角又は平行並びに接合する納まりのことで、その部分は磨き加工(加工ランクS)又はアラズリ加工(加工ランクA)を行ないます。コーキングで加工面が隠れる場合はアラズリ、加工面が見える納まりは磨き加工になります。
ところで今回のガラス割れの原因はなんだか分かりますか?写真をみると特にガラスに何か当たったような形跡はありません。実はコレ、熱割れが原因なんです。ガラスにフィルムを張ることで、熱を吸収しやすくなったり、ガラスにこもった熱の逃げ場がなくなるので、ガラス面の箇所によって温度差が発生しやすくなります。ガラス面に温度差が生じると熱割れすることがあるんですね。
特に、既存のガラスには真っ暗な透過率0%のフィルムが張ってますから、余計に熱割れリスクがあります。稀に、内装材に貼る用のダイノックシートや、車に貼る用の遮熱フィルムをガラスに張ってあるお店も見かけますが、それは熱割れリスクが上がりますからやめておいた方が良いのです。車は強化ガラスなので、許容熱応力が強いのでフィルムを張っても割れにくいです。確かガラスの耐熱温度は、透明ガラスが110℃のところ、強化ガラスは200℃です。つまり、窓ガラスも同様に、遮熱フィルムをガラスに張る場合は強化ガラスであれば熱割れリスクをかなり抑えることができます。
とはいえ、費用を押さえつつガラス交換したいというお客様には、上記リスクを承知頂けましたら、なるべくご要望通りに施工致します。(市販品、車用フィルムは例外です。ガラス用のメーカーフィルムに限ります)

↑ガラスを外す為に、コーキングを切ってガラス押さえを外しています。

↑外したガラスのフィルムをカッターで切れ目を入れて剥がしています。随分厚みのあるフィルムですが、何のフィルムでしょうね?ガラスフィルムしか知らないためよく分かりませんが、市販品でしょうか。。
上の写真のように透過率0%のフィルムでは流石に熱割れするリスクがかなり高いですから、お客様希望の、外から室内が全く見えないフィルムでかつ透過率1%のスリーエムジャパンさんのオペークブラックSH2BKOPのフィルム張りをしたガラスに交換です。ガラス用のフィルムなので膜厚も薄いですし、光を全く通さない訳ではないので、既存のフィルムよりはかなり熱割れリスクが下げられます。

↑ガラスを嵌め込みました。フィルムは室内張りのため、吸盤をガラス面の室外側に付けて嵌め込んでいきます。ガラス重量は43キロです。このくらいの大きさになると2人作業になります。ちなみに、当店は3人作業までが限界で、ガラス重量によりますが、6mmガラスであれば最大縦横2メートルまでが受けられる内容になります。当店は集客から作業まで完全仲介なし、外注したり中抜きしないがモットーですから、自分達で出来ない範囲の仕事は全て受けないようにしております。ご容赦くださいませ。

ガラスを嵌め込んだあとは、先ほど外しておいたガラス押さえ金具を付けてガラスが外れないようにします。

↑次にバッカー材と呼ばれる、ガラスと枠の間にスポンジのような物をつめて、ガラスが動かないように仮固定していきます。

こうしてマスキングを張り、コーキング作業をしてガラスを固めます。

これでガラス修理完了です。外からみたら室内が全くみえません。

室内からは多少、外が透けて見えます。マジックミラーのようですね。オーナー様によっては完全に遮断したいとご相談頂くこともありますが、当店ではお断りさせて頂く場合があります。熱割れしてもいいという場合も、割れたときに何かあってはいけませんから、その場合は最低限、熱割れリスク軽減のため、強化ガラスがオススメです。
基本的にフィルム付きガラスの修理では、熱割れリスクが生じることがあるということをお伝えしたくて、今回の記事を作成してみました。ガラスの中でも特に、網入りガラスへのフィルム張りは熱割れリスクが上がるため要注意です。
修理を検討されている方にとって参考になりましたら幸いです。